工務店チラシの成功事例|集客アップするキャッチコピーの作り方【インサイト×ヒューリスティック】
1.成功事例
私が、単身独立起業した年(2007年)から2015年くらいまでは、工務店さんの集客もまだまだチラシが主力でした。
集客チラシで多いパターンが「現場見学会」への来場を狙ったチラシです。
チラシの成否は「1万枚まいて何組来場するか?」ということです。
地域によっても集客率は異なるとは思いますが、当時は「1万枚まいて3〜5組の来場」があれば、まあまあ、といった状況でした。
「現場見学会」という手法が一般化してきたために、2000年前後に比べると集客数はだいぶ少なくなっていたと思われます。
そんな状況下で、1万枚まいて10組以上の集客に成功した事例もありました。
その1つが下記のチラシです。
このチラシは、再現性の高いノウハウで作られています。
というのも、このチラシで使われているノウハウで作成した他社のチラシも、かなりの確率で成果をあげられたからです。
さて、このチラシの中で大事なところ(集客成功の肝)をたった1つだけあげろと言われたら、あなたはどこをあげますか?
2.集客成功の肝
このチラシの集客成功の肝はタイトル(キャッチコピー)です。
チラシのレイアウト、画像、見どころの書き方などにも工夫は凝らされていますが、最も重要な要素はキャッチコピーなのです。
具体的には、「忙しいママもこれならホクホク!子育て世代のお手本住宅」というキャッチコピーです。
このキャッチコピーの成功の要因を掘り下げて考えてみましょう。
3.キャッチコピーの比較
成功の要因を掘り下げるために、次の質問に答えてみてください。
あなたは、次の2つのキャッチコピーのどちらを見たくなりますか?
おそらく②を選ばれたと思います。
では、なぜ②を選ばれたのでしょうか?その理由に、成功の要因が隠されているのです。
4.成功の要因
成功の要因は、(1)消費者インサイトと(2)ヒューリスティックの活用です。
「はあ?インサイト?ヒューリスティック?一体なんのこと?」と感じられたかもしれません。
1つずつ解説いたします。
(1)消費者インサイト
消費者インサイトとは、お客さんが「そうとは気づいていなかった願望・必要性」のことです。
こう言うと、「潜在ニーズ、潜在ウォンツのことか?」と感じられるかもしれませんが、微妙に異なり、もっと深いところにある心理です。
消費者インサイトを言い当てられると、「こういうのが欲しかった!」という発見の喜びの感情が沸き起こります。
【例:キッチンリフォームの場合】
●表面的な願望:「収納を増やしたい」
●潜在ニーズ/ウォンツ:「片付けを楽にやりたい」「見た目もスッキリ」
●消費者インサイト:「朝の忙しい時間、探し物をするイライラから解放されたい」
→ 提案された「一目で見渡せる引き出し収納」を見た瞬間、「こういうのが欲しかった!」となる。
先ほどの「目利きの酒好き11人が選んだ米焼酎」の消費者インサイトとは、「一般の米焼酎購入者は、米焼酎の違いを自分では判断しにくく、外したくない」というものです。
もっと、噛み砕いていうと、「自分では違いが分かりにくいから、信頼できる他者に委ねたい」という願望です。
(2)ヒューリスティック
ヒューリスティックとは、人がものごとを直感で判断するときの「思考のクセ」です。
チラシや広告などを眺めているとき、人は直感で良いか悪いかを判断しています。
ヒューリスティック(直感で判断するときの「思考のクセ」)を押さえておくと、キャッチコピーづくりに役立ちます。
「目利きの酒好き11人が選んだ米焼酎」は、「社会的証明」というヒューリスティックが使われています。
【社会的証明というヒューリスティック】
●他の人(特に専門家)が選んでいるものは、自分にとっても良いはずだと感じる思考のクセ。
●「目利きの酒好き11人=11人もの専門家」が選んだ、という情報が、この思考のクセを強く刺激している。
(3)見学会のキャッチコピーでは
先ほどのチラシのキャッチコピー、「忙しいママもこれならホクホク!子育て世代のお手本住宅」について、掘り下げて考えてみましょう。
【消費者インサイト】
●「家づくりで失敗したくない。多くの同世代が認める安心の基準に沿った家を選びたい」という願望を、「お手本住宅」という語句が言い当てた。
【ヒューリスティック】
●「ホクホク」という擬態語が、温もり・経済的なお得感(いずれもポジティブな感情)を喚起した。感情がポジティブに傾いたことで、その対象全体を好意的に判断する思考のクセが働いた(アフェクト・ヒューリスティックという思考のクセ)。
●「お手本住宅」という語句が、「正しい基準が既にありそう」という期待感を与えた(社会的証明という思考のクセ)。
※ちなみに「お手本住宅」という語句は、消費者インサイトを言い当てるだけでなく、ヒューリスティックも活用した語句になっている。
※つまり1つの語句なのに、インサイト的側面とヒューリスティック的側面をもっている。
※こういった「1粒で2度おいしい」語句を整理して持っておくと、キャッチコピーづくりでは有用。
このように、消費者インサイトを言い当て、ヒューリスティックという思考のクセを使って作られたキャッチコピーは、集客の成果をあげられる可能性が高くなります。
なぜならば、見込み客を動かすことができるからです(見学会に参加しようという行動をとらせることができる)。
集客の成果とは、「見込み客の行動(見学会に来場するという行動)」の結果なのです。
5.どうやって再現させるのか
消費者インサイトとヒューリスティックということがわかっても、自社の見学会のキャッチコピーを作るには、かなりの訓練が求められると思います。
具体的には、たくさんのキャッチコピーを見て考えるという稽古をしなければならないでしょう。
しかしながら、今では「生成AI」を活用することができます。
例えば、ChatGPTに、「ターゲット顧客(ペルソナ)の消費者インサイトを言い当て、ヒューリスティックを上手に使って、次の見学会のキャッチコピーを作ってください。見学会の情報は〜、ターゲット顧客(ペルソナ)は〜」というふうに指示を出すのです。
一発で良いキャッチコピーが出るかどうかはわかりませんが、自分で考えるよりもはるかに多くのアイデアを提案してくれると思います。
なお、ヒューリスティックには、色々なものがあります。
詳しく勉強したいという人は、行動経済学に関連する本を読むとよいでしょう。
Amazonで「行動経済学」で検索すると、たくさんの書籍が出てきます。
最近、私が読んだ本では、下記がわかりやすかったので、ご紹介しておきます。
(画像をクリックすると、Amazonのページが開きます。Amazon アソシエイト・プログラムを利用しています)
